今日も寒いね。
お散歩に行きたいけれど、温風ヒーターの前から動けない愛犬。
温風ヒーターの前で嬉しそうにしているが、こちらへ来る気配はない。
そんなに寒いの?
朝の散歩は、こんなやり取りから始まる。
身体が小さな愛犬は、極端に寒がりだった。
行くよー。
愛犬を無理やり温風ヒーターから剥がし、玄関へ。
すごく寒いんですけど。と言いたげにガタガタ震える愛犬。
ちょっと可哀そうに思えるが、ここから愛犬の逆転術がはじまる。
ハーネスとリード。防寒用の洋服を着て外へ。
愛犬は外に出ると必ず深呼吸をした。
行こうか。と愛犬に話しかける息が白い。
愛犬を地面に降ろすと、途端に走り出す。
今日も、防寒ダッシュが始まった。
ダッシュと言っても、愛犬のダッシュはかわいいものだった。
いつもの歩行速度が「ぽてぽてぽて」なら、ダッシュは「すたすたすた」といえばいいのだろうか?
自転車や歩行者に気をつけながら、ダッシュする愛犬を見守り、はやあし程度で歩く飼い主。
そろそろ身体が温まりましたか?
防寒ダッシュが終わると、いつもの「ぽてぽて」速度に戻る。
愛犬が若かったころ、一緒に歩いた冬の朝。
ちょっと変わったお散歩も、愛犬らしくてとても好きだった。
シニア期を迎えた頃、愛犬は歩かなくなっていた。
それでも外へ連れて行った。
フリースでぐるぐる巻きにした愛犬は、まるでアザラシだった。
外に出ると深く息を吸い、今日を確かめる愛犬。
温風ヒーターが大好きな愛犬は、外も大好きだった。
フリースでぐるぐる巻きにした愛犬を抱っこしながら歩く冬の散歩道。
歩いてみる?
少し歩いたところにある、公園の芝生で愛犬を歩かせてみる。
今日もゆっくりだが、歩けた。
寒いし風が冷たいけれど、愛犬と過ごすこの時間がとても好きだった。
抱っこした愛犬のぬくもりや、愛犬が何を見ているか、どんな匂いに興味があるのか、抱っこ散歩は愛犬をとても近くに感じた。
今年も冬がやってくる。
愛犬と過ごした冬を、寒さの中で感じた愛犬のぬくもりを、今も鮮明に思い出す。
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